いくら借りられるか?より、安心して返済していくには「返済可能額」を出すこと

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏

◇「どのくらい借りられますか?」
私はファイナンシャルプランナーで、これから家を建てる方からのご相談をお受けしているのですが、その時によく聞く言葉があります。
「どのくらい借りられますか?」
ご相談でお聞きする言葉の第一位でしょう。「自分の年収からはどのくらいのお金が借りられるんだろう?」「自分と同じくらいの年収の人は皆さんいくら借りているんだろう?」この辺りがお聞きになられたいところかなと思います。
これを計算するのは簡単で、年収(源泉徴収票の総支給額)からすぐに計算できます。
車のローンや他のショッピングローンなどがある方は、その分が引かれて、住宅ローンで借りられる金額は小さくなります。毎月の車の返済が3,4万円あったりすると、かなり住宅ローンに影響があるということになりますね。
借りられる額を出すのは簡単ですが、めいっぱい借りる前提で建築計画を進めると、予算オーバーになる可能性もあるので注意が必要です。
建築屋さん側としても、「どのくらい借りられるのか」と、そもそも「ローンの審査は通るのか」は早急に知りたいところになってきます。

◇住宅ローンの審査が通らない?!
住宅ローンの事前審査では、どのくらい借りられるかと今までのお借り入れの状況を確認しています。今までに2回以上の分割払いにしたお買い物の状況やクレジットカードの枠やリボ払いの使用状況から、「借りたお金をきちんと返している人かどうか?」を確認します。もしそれで以前に返済を滞らせたことがあるという場合は、内容によっては審査が通らないということもあります。ただ、審査の基準はそれぞれ金融機関によって違うので、1か所ダメだったからといって落ち込む必要はありません。他の金融機関で通るということはよくあることです。審査が通らないと、その理由は教えてもらえないので、社会から拒絶されたように凹む方がいますが(気持ちはわかりますが)、慎重に原因を探ってみましょう。焦って、金融機関の事前審査を乱発したりしないでくださいね。

ただ、探った結果、“借入はあと数年見合わせた方がいい”という結論になる場合もあります。それは残念ですが、受け入れるしかありませんので、その間に頭金を貯めるなどして前向きに考えましょう。“数年待ってよかったね”となるようにすればいいのです。

◇自営業や経営者の方は住宅ローンを組むことは難しい?
自営業の方の場合は、商売は儲かっていても所得を小さくされていたりしますので、借りたい額が借りられないことや、会社の経営者や後継者の方は、会社の経営状況を確認されますので、会社員の方よりも借入が難しくなってしまう場合があります。
親身に相談にのってくれる取引銀行の方や、借入に詳しい税理士さんと計画的に進めることが望ましいと思いますが、事業用の借入の住宅ローンへの影響や、収入合算、保証人、担保などは金融機関によって違いがありますので、最初から困難だ・・と思わずに情報収集してみてくださいね。

◇借りられる額で家は建つ?
デザイン、大きさ、性能も大事ですが、借りられる額で希望の家は建てられるのかしら?が知りたいですよね。注文住宅の建築屋さんであれば、ある程度予算に合わせてくれるはずですが、この建築屋さんに決めた!と思うまでは迷うことも多々あると思います。
展示場を見るのもいいのですが、完成見学会は実際に住むために作られていますので、見学はとても参考になるはずです。建築屋さんが情熱的に家造りについて語ってくださったり、施主様が当日いらしていて建築屋さんの良さをお話しくださったりする場合は、建築屋さんとの良好な関係性が見えて、安心して新居の建築をお任せできるポイントのひとつになると思います。建築屋さんとの良い出会い、とても大事なんですが、その前に「マイホーム取得予算」を住宅ローンの返済可能額から出しておく必要があります。

◇【借入可能額】と【返済可能額】では1,000万円超の差がでることも
よく【借入可能額】よりも【返済可能額】が大事と言われます。じゃ、返済可能額ってどうやって出すのか?ですが、
「今の家賃が6万だから、もうちょっと頑張って月々7万位までだったら大丈夫かなと思います。」
数字はそれぞれですが、ご相談の時によく聞く言葉の第二位くらいです。毎月の返済額の出し方は、家計の見直しをした上で、7万円なら払っていけるかな?という数字を出したら、次に35年(返済期間)ずーっと毎月7万円の返済が可能かをマネープランを作って確認します。この場合の金利は将来の金利上昇のない、全期間固定で計算します。10年後、20年後に払うことが難しそうであれば、毎月の返済額を7万円よりも小さくする必要があります。それが現実的な【返済可能額】です。そこに自己資金、ご両親等からの贈与と合わせて「マイホーム取得予算」となります。
(もし、車のローンなどで返済可能額よりも借入可能額の方が小さくなってしまうという場合は、ぜひ前回のコラムを参考にしてくださいね。→家を建てる時、自己資金はどこにどのくらい充てるべきか?

こういう話をすると億劫だと思われて、“後でやります”とおっしゃる方がいますが、住宅ローンを組むのであれば、返済可能額を出しておくことは必要な作業です。先に出しておけば、総支給額から計算する【借入可能額】に左右されて予算オーバーになることが激減するはずです。

結果、終わりがみえないと思えるほどの毎月の返済、教育・老後の資金不足などの漠然とした不安から解消されることに繋がりますよ。

更新日:2017年8月12日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。

 

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