相続に関するQ&A (4)

文:司法書士法人 あい事務所 代表 田中 裕志 氏
住まいに関わる相続の大切なおはなし その7
相続に関するご相談 4


相続に関する具体的な相談をご紹介します。以下は私が実際に以前いただいたご相談と、その回答です。

《相談内容》

父が亡くなりました。遺産は自宅の土地建物のみです。私たち家族が同居しており、ほかの相続人は弟がいます。弟が相続の権利を主張してきそうです。どのように対処すべきか教えてください。

《回  答》

まず、法定相続人(相続の権利を承継する人)は、長男である相談者と弟さんの2人ですね。次に、遺言の有無を確認します。そして、相続財産(遺産)の確認です。遺言はなし、相続財産は自宅の土地建物のみのようです。この事実をもとにして、法定相続人兄弟2人で、遺産分割協議(遺産の承継の話し合い)を行います。法律で用意している相続分はそれぞれ2分の1ずつですが、2人の合意があればどのようにわけてもかまいません。

弟さんが相続の権利を主張するならば、原則としてその権利は守られることになります。ただし、その前提として特別受益(生前にすでに財産をもらっているか)、寄与分(遺産の維持、拡大に貢献した人がいるか)を検討します。これによって、実質的に平等に遺産をわけることができます。

遺産が不動産である場合には、分け方に注意が必要です。兄弟で共有状態を続けるのは、世代が変わると権利関係が複雑であるので好ましくありません。土地が広ければ、分筆(土地を分ける)して分ける方法もあります。そうでなければ売却して金銭を分ける方法、一番現実的なのは同居している長男が自宅を承継して手持ちの金銭を弟に支払って分ける方法があります。

いずれにしても、2人で話し合い合意する必要があります。どうしても合意できなければ家庭裁判所で調停をする方法で解決することになるでしょう。

更新日:2019年11月26日


田中 裕志(たなか ひろし)氏
司法書士法人あい事務所 代表。
司法書士(簡裁訴訟代理関係業務認定)、行政書士。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、事業再生士補、貸金業取扱主任者と多くの資格を持つ。
会津若松市出身。千葉大学法学科卒業後、松戸市内の司法書士事務所での勤務を経て、平成10年に会津で個人事務所を開業。平成25年に司法書士法人あい事務所を設立した。平成27・28年度は会津若松商工会議所青年部会長も務め、精力的に活動している。「ひとりひとりの問題解決に、全力を尽くす」をモットーに、一期一会の心構えで仕事を通して地域貢献に努めている。

 

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