年収1000万の高収入でもお金が足りない?

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏


◇高年収でもお金が足りない?

普段、新築や住宅取得についてのご相談をお受けしています。当然ですが、勤めている会社、年齢、家族構成、そして、年収に違いがあります。

年収で1,000万円超の方っていったいどんな暮らしをしているのだろう?と思ってしまいますが、高い方からすれば、そういう生活に慣れておられるので意外と余裕がないと思っていたりもするようです。

相談に来られる方は、高収入の自覚が無く、貯蓄の無さや老後の不安で切実だったりする方もおられます。

◇「年収」で判断されることは多い

家を建てるのにどのくらい融資を受けられるか、ということにおいては、前年度の源泉徴収票の支払金額(年収)から計算して、借入金額の見当をつけて、住宅メーカーさんとの話が進んだりします。

当然ですが、年収が高いと余裕があるだろうと思いこまれがちで、高めの提案をされたとしても、その内容が気に入って話が進んだ場合、借入も通る可能性大なので、そのまま話が進んでいくこともあるはずです。

◇自分に合ったサイズ(予算)を知る

収入が高い方でも、しっかり計算してみると、毎月の支出とローン負担が大き過ぎて、退職金でもローンが完済できず、老後お金が回らないという可能性もあったりします。

でも「年収」からはそこまでわかりませんからね。

まるで、高級な洋服(住宅)を買うのに、サイズ(自分の予算)を全く確認せずに買うのと同じな気がします。洋服であればサイズが合わなければ返品、人に譲るなどが出来ますが、住宅だとそういうわけにはいかないので、どのくらいのお金を住宅に掛けてもいいのか、ご自身の予算をマネープランを作って確認する、ということは必須事項になります。

◇「年収」からはわからない支出と貯蓄額

年収が高いと、住宅ローンをいっぱい組めるから、高めの金額でも余裕で買えるだろう、貯蓄もいっぱいあるだろうと思われがちです。

年収1,000万円でも貯蓄0円の方もいれば、年収300万円でも貯蓄300万円超の方ももちろんいらっしゃいます。

年収と貯蓄額はまったく比例していないなと感じます。

お金が貯まらない要因は、ご夫婦で別会計にしている、奥様の管理にご主人が無関心、多趣味、仕送りなど様々ですが、貯蓄がないと、ケガや病気で思うように働けなかったり、業績悪化で収入ダウン、転職などで収入減になったら、年収に関係なく、あっという間に家計破たんする可能性があります。

「年収」に関係なく、支出・貯蓄のバランスが大事ですので、家を持つ時にはマネープランを作って、ついでにバランスも整えましょうね。

更新日:2019年5月30日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。

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