収入の「すき間」に、備えあれば患いなし

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏

◇備えはいくらくらい必要か?

将来への備えはいくらお持ちですか?

現預金、定期預金、生命保険、有価証券など、自分に合った資産をお持ちかと思いますが、どこにいくら保有しているかは把握していますか?

いくらかはあるけど、それが多いのか少ないのかわからない、といったところでしょうか。

日本の金融資産(将来へ備え)平均額は1,139万円(中央値は419万円)です。一方で「貯蓄がない」という世帯の割合は、単身世帯で38%、2人以上世帯で23.6%になります。<金融広報中央員会2019 調査資料より>

収入や支出額にもよるので、一概に平均を見て一喜一憂する必要はありませんが、「何かあった時」への備えとして、生活費の半年分は現預金で備えて欲しいと思います。1ヶ月の生活費(住居費+食費+日用品+保険料+教育費等々)が30万円だったら180万円ですね

 

◇「何かあった時」に蓄えが無かったら…

今回のコロナのようなことが「何かあった時」に当たりますが、一時的に収入が減った方もおられたでしょうし、減らなかった方も想定外のことってあるのだなと、痛いほど実感しましたよね。私もイベントが無くなったりして、この先どうなるの??と思いました。給付金はありますが、手元にお金が来るまでの間、もし蓄えが無かったら不安は倍増していきます。今回のような出来事は繰り返されて欲しくないですが、体調を崩す、転職をする等で一時的に収入が減ることは、誰にでも起こる可能性がありますよね。

 

◇収入の「すき間」に対応できるか

とはいえ、「社会保障制度あるし、民間保険にも入ってるから大丈夫でしょ」と思われた方、ちょうどお金が出ない「すき間」ってあります。医療保険であれば、入院せず自宅療養している間。働けない状態の時の保障保険であれば、保険が出るまでの数か月間。自己都合で退職した場合の失業手当が出るまでの間。会社を長期間休んで傷病手当金をもらった場合の通常のお給料との差額、などなど、どれも大金ではないですが、すき間の数か月は収入が減るので、現預金で数か月分あると対応できます

 

ただもし、自分の財産をすべて不動産、保険、投資信託などの形にしていて、現預金はほとんど持たないという方は、資産を分散させておくことが必要です。どこか1つに偏らせないでくださいね。「資産分散」については、また機会を改めて書くことができればと思います。

そもそも貯蓄がないという方は、わかってると思いますが、突然誰かが大金をくれたりはしませんので、毎月コツコツ少しずつでも始めましょう。きっと10年、20年後の自分が褒めてくれますよ。

 

更新日:2020年5月26日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。

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