契約直前では遅い! まずは大事なお金の話をしましょう。

まずは資金計画。大事なお金の話。

「契約直前では遅い!まずは大事なお金の話をしましょう。」

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏

 住宅取得を検討されている方であればご存知のことと思いますが、住宅価格総額が上がっていますよね。建築屋さんの見積もりの記載の仕方も様々で、住宅の資金計画の計算が本当に難しくなってきたなと感じています。
 弊社に相談に来られるお客様にも変化があり、以前は来られなかったような公務員の方や世帯年収高めの方も、建物契約直前になって慌てて「このまま契約して大丈夫ですか?」と来られることが増えています。
 計算して老後まで資産が安定していれば問題ありませんが、そうでない場合は土地取得費の見直し、建物の変更等が必要になるため、正直、契約直前のご相談では遅いと言えます。
 土地探しにも時間を掛けてきて、建築屋さんとの間取りの打合せも何度も何度も重ねて来ての契約前のはずなので、それまで何ヶ月も掛かっていますよね。そこまで来るともう振り出しに戻る程のパワーが残っていなかったり、建築屋さんにも申し訳なかったりで不安だけど“大丈夫って言って!”という感じになっているでしょうし、気持ちはよくわかります。
 でも私はファイナンシャルプランナーで、建築屋さんでも金融機関でもないので、客観的に計算するのみです。しっかり計算したその結果が将来赤字になってしまう場合はそれを正直に伝えます。それはその方を守ることになるはずです。建築屋さんに嫌われたとしても、安易に大丈夫ですよ、とは責任があるので言えません。
 「まずは展示場に行ってみよう」というCMを観ますが、その前に「自分たちに合った予算はいくらなのか?」をしっかり把握することが最も大事です。予算を知っていれば、おのずと土地と建物本体に掛けられる金額がわかりますし、お金の不安を抱えたまま間取りの打合せをすることも無いはずです。
 「一生に一度の家だから」と言ってどんどん総額を上げてしまった結果、後の人生が住宅ローンで苦しくなる。そんな悲しいことには絶対になってほしくないと、強く願っています。

 

更新日:2022年8月26日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。2022年春から、「マイホーム買い方辞典」というサイトも開設した。

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