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将来のために、現実と対応策を把握しよう!
まずは資金計画。大事なお金の話。
「将来のために、現実と対応策を把握しよう!」
文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏
「住宅ローン返済が苦しい」というご相談を受けるたびに思うのですが、それは、住宅ローンを組む時(家を建てる時)に、この方に客観的にアドバイスをする人はどなたもおられなかったのだろうか、ということです。明らかに大きい借入額、売却が難しそうな建築場所、返済の無計画等々が重なって、返済が苦しくなるわけですが、相談に来られない方の中にも何とか必死で毎月やりくりしている方は意外と多いのかもと思っています。
住宅ローンで破綻する人の割合は約2%と言われています。破綻する方が50人に1人、これも少なくない数字だと思いますが、苦しいと思いながらあと何年続くのかと返済期間を恨めしく思う方は、当然、破綻の2%よりも多いことになります。
建てた時は大丈夫だと思った返済がどうして難しくなるのかですが、「当時とは状況が変わった」とはよく聞きます。でも、返済期間の35年いろんなことがあることは大前提の話です。むしろ状況が変わらないことの方が珍しく、いろんな状況の中で返済していけるかを検討するのが資金計画です。
例えば、転職するとして次のお勤め先では最低いくら給料をもらう必要があるのか、病気になった時の住宅ローンはどう返済するのか、住宅メンテナンス費用はどこから捻出するのか、65歳でいくらローンが残っているのか、奥様は最低いくら収入を得た方がいいのか、金利の上昇に耐えられるのか、等々です。
資金計画は、建てる前・家を買う前にやらないと意味がないものになります。安易な資金計画で進めて、自分達に合わない住宅ローンを選ぶと、あっという間に苦しくなる可能性があります。今は建築費が上がっているので資金計画も2,3年前より難しくなっています。ぜひ「客観的な」アドバイスが出来る人に相談をするようにしてください。
資金計画で厳しいことを言うと、家を建てようと盛り上がっているのに、水差さないでよという感じでムッとされたり、私を何年も恨んでいるという方もいるようです。怒って帰った方からその後、「住宅ローン組めましたよ!」と言われたりしますが、組めないなんて一言も言ってなくて、状況を変えなければ返せなくなって老後破綻する可能性がありますよって話をしています。住宅ローン返済で苦しむ人を無くしたいので、きちんと厳しい現実と対応策をお伝えする、それが専門家の役割だと思っています。
更新日:2022年12月26日
菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。2022年春から、「マイホーム買い方辞典」というサイトも開設した。