相続に関するQ&A (5)

文:司法書士法人 あい事務所 代表 田中 裕志 氏
住まいに関わる相続の大切なおはなし その8
相続に関するご相談 5


相続に関する具体的な相談をご紹介します。以下は私が実際に以前いただいたご相談と、その回答です。

《相談内容》

半年前に父が亡くなりました。遺産は自宅の土地建物、田畑と預貯金、貸アパートがあります。

相続人は、私と弟ですが、弟は貸アパートの相続を希望しています。そこは近々道路拡張で市の買収になる予定です。
そうすると、弟が引き継ぐ金銭が圧倒的に多く不公平な感じがするのですが、どうしたら良いでしょうか。

《回  答》

亡くなったお父さんの相続の権利を引き継ぐ相続人(法定相続人)はあなたと弟さんの2人ですね。
遺言がないとすれば、法定相続人の2人で遺産をどのようにわけるかを話し合う遺産分割協議を行います。
協議が整うと、その内容を記載した遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更や預貯金の解約の手続きを行います。

遺産分割協議の内容ですが、お2人が納得すればどのような配分で分けても構いません
極端な内容としては、一方が全部取得して他方が全く取得しない内容でもよいのです。
法定相続分である「2分の1ずつ」は、あくまで民法が定めた基準ですので、2人の合意が優先します。

どのような内容で納得、合意するのかはケースバイケースです。
話し合いの前提として、まずは財産の一覧表(財産目録)を作ることが大切です。
不動産(特に自宅)の場合には、評価額があっても実際に売却しないことが多いのでその扱いが難しい場合があります。
また、現金と非現金(不動産等)のバランスが大きく異なると、不公平感を生むことにもなります。
その場合には、「代償分割」といって、相続人の手持ちの現金で調整する方法も考えられます。

 

更新日:2020年2月29日


田中 裕志(たなか ひろし)氏
司法書士法人あい事務所 代表。
司法書士(簡裁訴訟代理関係業務認定)、行政書士。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、事業再生士補、貸金業取扱主任者と多くの資格を持つ。
会津若松市出身。千葉大学法学科卒業後、松戸市内の司法書士事務所での勤務を経て、平成10年に会津で個人事務所を開業。平成25年に司法書士法人あい事務所を設立した。平成27・28年度は会津若松商工会議所青年部会長も務め、精力的に活動している。「ひとりひとりの問題解決に、全力を尽くす」をモットーに、一期一会の心構えで仕事を通して地域貢献に努めている。

 

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