ローンの審査は前を向いて受けよう

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏

家を建てる、建売を買う時に住宅ローンを組みますが、それには金融機関の審査を通過しなくてはなりません。

審査結果が出るまで本当に不安なものです。審査に通らなかった時のショックは計り知れません。希望額が借りられない、という場合はご自身の所得等と物件・金額が合ってない場合があるので、金融機関を変えてチャレンジする前に、ライフプランに照らして物件・融資額等の見直しが必要になります。

収入が高かったり、属性が良かったりしても審査結果が出るまでは心配なものです。通らなかった時は社会から拒絶されたような絶望を一時的に感じるかもしれません。事実を突きつけられるのが怖くて、審査が受けられない方もいます。理由を金融機関に聞いても教えてもらえないものですが、中にはご本人に心当たりがある場合もあるでしょう。

審査はご存知の通り、本人同意の下、「個人信用情報機関」の照会を行って、信用度を確認します。「個人信用情報機関」とは今までの借入(現金・商品購入)やクレジットの内容、借入の返済状況の情報が集約されている機関です。

過去の車のローンやスマホの分割払いに滞りがあった、何度も延滞を繰り返したとか、信用を損ねるようなことをしてしまったことがあると、個人信用情報機関にその情報が登録されているので、次にローンを組みたい時に審査が通りにくくなります

住宅ローンの審査が通らなくて初めて過去の借入に滞りがあったことを知る方もいたり、あれか、と思い出されたり、心当たりが的中という方もおられるでしょう。

意識的ではなくても事実として登録され、完済しても一定期間情報は残るので、なんとなく延滞を繰り返している方は今後は気を付けてください。

とはいえ、過去のことはもうどうにもできないので、残っている債務があれば、きちんと滞りなく返済し、完済することが基本です。

常に“借りたい時にお金が借りられる状態”にしておくことが自分自身を守ることになります。

大きな買い物をするときの分割払いだけでなく、生活費が不足してちょっと数万借りちゃうこともあるかもしれません。

消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、欲しい時に簡単にお金が引き出せるので、とても便利です。便利すぎるがゆえに何度も繰り返してしまう方もおられます。貸す会社の方もそれが狙いです。簡単に借りられる=金利が高いので、あっという間に返済が大変になります。『返済は計画的に』とよく聞きますが、本当にその通りです。滞ったり、返済しきれなくなってしまうと、将来の自分を苦しめることになりかねません。

過去を繰り返さないと決めていても、過去の借入に縛られ過ぎて、家族のために家が欲しいのに、ローン審査が通らないことが怖くて、前に進めない方もおられます。

ネットで検索しまくって、いろんな情報を得すぎている方もいますが、まちがった内容もありますし、いくら検索してもあなたと全く同じ状況の話は載っていないのでやるだけ時間がもったいないです。

別にローンが通らないことでこの先の人生が閉ざされるわけでもなんっでもないので、家が欲しいのであれば、悩む前に審査を受け、通らなかったら、それを事実として受け止め、数年後に狙いを定めて、頭金を貯めればいい、ただそれだけです。

たまたま審査厳しめなところに出してしまって通らないと思い込んでいる方、借入金額や申込時期を少し見直せば可能性があった方なども中には見受けられます。自分に合った金融機関、物件、融資金額を見定めて、審査を出すことも通すための重要なポイントです。毎回言ってますが、ライフプランに基づくことは大前提ですよ。

更新日:2020年8月26日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。

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