進化しているフラット35ってどうなの?

まずは資金計画。大事なお金の話。 特別編

今回の大事なお金の話は、全期間固定住宅ローン「フラット35」についてのお話を特別拡大版でお届けします。

金利が全期間固定なのが魅力のフラット35ですが、この4月から新制度「フラット35維持保全型」がスタートします。これからもっと進化していくようです。

ぜひこういった制度をうまく利用してお得な資金計画を立てましょう。

文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏

●フラット35とは?

全期間固定住宅ローン。それが「フラット35」です。
この住宅ローンの主な特徴としては、【全期間固定なので金利の上昇にドキドキすることなく、借入金額が適正であれば安心して返済していける】というものです。
その他、全体の9割融資、保証人・保証料不要(ただし事務手数料は保証料と同じ位掛かる)、銀行以外でも窓口がある、建物検査が必要で高性能住宅には金利優遇がある、等がフラット35の特徴になります。

 

●フラット35って誰でも借りられるの?

フラット35は、「転職して間もない方、経営者や個人事業主の方、収入の少ない方向け」という、一般の会社員の方が借りる住宅ローンでは無いイメージを持っている方もいると思います。

ですが、本来は自己資金(頭金)が1割以上出せる方と、長期優良住宅などの高性能住宅を建築する方が有利に借りられる住宅ローンというのが正しい理解だと私は思います。

 

●この4月からの新制度

そんなフラット35、今までも団信が金利に含まれるようになったり、諸費用分も借りられるようになったりなどの変化がありましたが、さらに新たな取り組みが始まっており、今後どんどん進化するようです。
2022年4月から、【フラット35維持保全型】がスタートしました。
もっといいネーミング無かったんですかね?と思ったりしますが・・・。
簡単に言うと、長期優良住宅のように維持管理に配慮された住宅取得で当初5年間、金利0.25%引き下げしますよ、というものです。今までもあった、フラット35Sという高性能住宅には金利引き下げしますよ、という制度は続行で、そこに上乗せして優遇されます。
長期優良住宅であれば、今まではフラット35Sの金利Aプランに該当して、当初10年間の金利が0.25%引き下げでしたが、2022年4月からは金利Aプラン+維持保全型で、ダブルで優遇が受けられ、当初5年間は0.5%引き下げ、その後の5年間は0.25%引き下げになります。

 

●実際の金利は?

例えば、フラット35融資時(申込時の金利ではない)の金利が1.44%とすると、当初5年は0.94%、その後5年間は1.19%、それ以降は1.44%に戻る、ということになります。

全期間固定で1%を下回る金利でスタート出来るのは嬉しいですよね。まぁでも実行時金利なので、現在じわじわ上昇している金利がもっと上がったら、1%切れなくなっちゃいますけどね。

11年目の金利が戻る時に返済が苦しくならないような資金計画は必要です。

 

●フラット35のこれから

今後2022年10月以降はフラット35S(ZEH)がスタートすると共に、金利引下げ方法がポイント制になり、フラット35Sの基準の見直しもあります。さらに2023年4月には、脱炭素社会に向けて、フラット35そのものの省エネ技術基準見直しもあります。
正直わかりにくいな・・というのが本音ではありますが、忘れちゃならないのが、基本のフラット35は「35年の返済期間中、金利の上昇の心配が無い」という点ですよね。

どんな時も返済していかなきゃならないのが住宅ローンですから、安心感も重要です。新築を建てる、長期優良住宅の認定を受けるということであれば、フラット35も住宅ローンの選択肢の1つとして検討してみるのもアリなのではないでしょうか。

 

更新日:2022年4月26日


菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。2022年春から、「マイホーム買い方辞典」というサイトも開設した。

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