庭×暮らし×のいえ
紅葉のふしぎ

文:陽樹園 古川 雄一 氏

 秋も深まり、日々の寒暖差が大きくなってきて、モミジを始めとした落葉樹たちが色づき始め、紅葉狩りの季節になってきました。紅葉にはとってもふしぎなメカニズムがあります。  

 前提として、冬期間に葉を落として春に一斉に葉が出てくるモミジやサクラなどの「落葉樹」一年中青々とした葉を付けているマツやスギなどの「常緑樹」のふたつに分類されます。紅葉するのは「落葉樹」だけです。では何故紅葉するのかというと、秋になり気温が下がると、光合成の量が少なくなってしまい、葉を維持するだけのエネルギーがなくなってしまうのです。そこで、葉を落とす前段階として、光合成を行っている器官である葉緑体や葉緑素を消滅させます。実は葉が緑色なのはこの葉緑体や葉緑素が緑色だからなのです。葉の中の緑色が抜けると、緑色以外の葉が持っている色が出てきます。これが黄色で、黄葉「おうよう」と呼ばれる葉色です。イチョウ、ナラは黄葉の代表格です。赤に色づくには、葉の中に赤色の色素のアントシアニンという物質が生成されて、赤く見えるようになる、という事なのですが、なぜアントシアニンが生成され赤く見えるのかは今の科学では解明されていません。  

 紅葉といえばモミジですが、裏磐梯などの会津地方の山ではナラやカラマツなどの黄葉がとても多く、とても綺麗に見ることができます。 今年の秋は「黄葉狩り」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

更新日:2022年10月26日


古川 雄一(ふるかわ ゆういち) 氏
陽樹園」代表。会津若松市内の造園会社に17年在籍後、独立する。
様々な資格を持ち、独自のスタイルで作る庭は高い評価を得ている。
樹木医、一級造園施工管理技士、一級造園技能士、松保護士、自然再生士。

 

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