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冬のお庭をたのしむ
庭×暮らし×のいえ
冬のお庭をたのしむ
文:陽樹園 古川 雄一 氏
立春が過ぎ、遠くから春の足音が聞こえ始めました。冬の間の植物たちは成長を止め一時的に休眠していますが、3月頃には活発に動き出します。雪国においてお庭は雪が積もっているだけの白い世界だと思われる方も多いと思いますが、冬のお庭も様々な変化があります。我が家のお庭では、ナンテンやソヨゴなどの赤い実を目当てに小鳥が遊びに来ます。これらの実は小鳥からしたらあまり美味しくはないようで、食べ物がなくなる真冬にしょうがなく食べているようです。小鳥たちがやってきているのを見ると「美味しくないかも知れないけど、ウチので良かったらいつでもどうぞ」と語りかけています。
樹木にも変化があります。枝先には冬芽と呼ばれる葉や花の元となる小さな膨らみがあり、葉や花を冬の寒さから守っています。冬芽を良く観察すると花になる花芽(かが)と葉になる葉芽(ようが)に分かれているのが分かります。実は冬には花になるのか葉になるのかわかるのです。
3月頃になると樹木の根元の周囲だけ丸く雪が解けているのを目にします。これは根開き(ねあき)といって、樹木が水を吸い上げて根元周辺の温度が上昇するために雪解けが起きる現象なのですが、俳句では“木の根開く”といって春の季語にもなっています。
木々たちは私たち人間よりも早く春を感じているようです。冬のお庭は花などの彩りはありませんが、冬だからこそ見られるものも沢山あります 。
更新日:2023年2月28日
古川 雄一(ふるかわ ゆういち) 氏
「陽樹園」代表。会津若松市内の造園会社に17年在籍後、独立する。
様々な資格を持ち、独自のスタイルで作る庭は高い評価を得ている。
樹木医、一級造園施工管理技士、一級造園技能士、松保護士、自然再生士。