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収入に対する返済額はいくらが妥当?
まずは資金計画。大事なお金の話。
「収入に対する返済額はいくらが妥当?」
文:株式会社あいFP事務所 代表取締役 ファイナンシャルプランナー 菊地智恵 氏
いくらまで借りられますか?って聞かれた時、前職で住宅ローンの会社にいた時は、年収の30~35%を返済率として答えていました。
そうすると世帯年収が500万円の方の場合、返済率35%、借入可能額は4,200万円位で月々の返済額は128,000円程とかなり大きい額になります。さらにそれを手取(世帯年収から社会保険や税金を引いて実際に振り込まれる額)で計算すると4割に当たり、住宅ローン返済が給料手取の半分弱を締めることになります。それでも生活に問題なければいいのですが、家を建てた後も日常の生活に支障がないかどうか、シミュレーションはしてみるべきですよね。
安易に税込年収から借入可能額を計算していた、過去の自分の無知さは反省しています。
理想的というか、これなら余裕かなという数字は、手取額の17~20%前後かなと思います。
世帯月収税込50万円なら手取額は約40万円、その20%は8万円です。借入額は2,600万円位です。
(ちなみにこういった住宅ローンの計算をする時は、ボーナス払いにはしない、想定金利は全期間固定金利で計算して、変動金利ならもっと借りられるよねという発想を捨てて計算します。)
あくまで余裕が持てる数字ではありますが、2,600万円って住宅で言えばコンパクトな方で、土地買って新築はかなり難しくなる数字です。
ただ、世帯月収50万円の方が全員2,600万円が当てはまるかというとそうではなく、お子様の人数や生活費、趣味に掛ける額など支出がそれぞれ違うので、全員別個にしっかり計算しないと家に掛けてもいい金額は出てきません。余裕で返して行ける額っていくら?それが35年続いてもいける?を考えるのは、住宅ローンを組む前じゃないと間に合いません。
コロナ禍以降、建物価格が上昇し、新築の資金計画がとても難しくなってきたと実感しています。四角いきれいな土地に、高額な建物で総額4,000万円超という住宅がもう一般的になっています。かと言って、その額が誰にでも合うわけではなく、販売側や誰かに合わせる必要もありません。予算内で建ててくれる工務店を探す、中古を買ってリノベーションする、ということもとても良い選択です。家にお金を掛けすぎないだけでなく、例えば、広いリビングで家族ゆったり過ごしたい、大きめの収納が欲しい、性能が良い家に住みたい等は新築じゃなくても叶えられることです。トータルで最後に素晴らしい選択だったねとなっていただけることを望みます。
更新日:2023年6月26日
菊地 智恵(きくちともえ) 氏
株式会社あいFP事務所 代表取締役。
ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、貸金業取扱主任者。会津若松市出身。住宅ローン取扱業務の経験後、『特定の会社に属さず、客観的な立場から住宅購入をサポートできるようになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするファイナンシャルプランナーとして、第三者的な立場から住宅購入相談を行っている。住宅購入では『知っているか知らないか』だけで将来の家計に1,000万円以上の違いが生まれることから、正しい知識の普及にも努めている。2022年春から、「マイホーム買い方辞典」というサイトも開設した。