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植物たちの冬の戦略と耐寒性庭
庭×暮らし×のいえ
植物たちの冬の戦略と耐寒性庭
春の足音が聞こえ始めましたが、朝晩はまだまだ寒い日が続いています。私たち人間は寒ければ着込めば良いのですが、植物たちは自由に脱いだり着たりする衣服を持ってはいません。ではどのようにして厳しい冬を乗り越えているのでしょう?気温が低くなる冬の間最も植物たちが恐れているのは、体の内部が凍ってしまうことです。この症状を凍害と呼びます。体の内部が凍ってしまうと、根、幹、枝、葉の養分や水分の行き来が出来なくなってしまい、重症になると枯れてしまいます。冬の間の植物たちは活動を停止しているわけではなく、休眠しています。わたしたち人間の睡眠と一緒で、生命維持のため必要最低限の活動をしています。
植物たちは冬が近くなってきたことを感じると、体内の水分の中の糖分の濃度を徐々に濃くして冬に備えていきます。それは水より砂糖水のほうがより凍結温度が低くなるからです。ですから冬の植物たちは“甘い”のです。代表的なのは雪の下で甘くなる雪下キャベツやメープルシロップでしょう。メープルシロップは冬期間のカエデの樹液です。南国の植物たちが冬に枯れてしまうのは、この自分の体を“甘くする”戦略を持っていないために枯れてしまうのです。ホームセンターなどで売られているお花や苗木などには耐寒性、非耐寒性のどちらかがラベルに書かれています。会津地方の屋外で冬越しさせるのであれば耐寒性と書かれているものを選びましょう。
更新日:2024年2月26日
古川 雄一(ふるかわ ゆういち) 氏
「陽樹園」代表。会津若松市内の造園会社に17年在籍後、独立する。
様々な資格を持ち、独自のスタイルで作る庭は高い評価を得ている。
樹木医、一級造園施工管理技士、一級造園技能士、松保護士、自然再生士。