庭×暮らし×のいえ
サクラのお話


文:陽樹園 古川 雄一 氏

日本の国花であり、春の訪れをつげるサクラですが、現在およそ600種類あるといわれています。
その中でも私たちに一番なじみのあるソメイヨシノについてお話します。

ソメイヨシノは江戸時代末期の染井村東京都豊島区辺りの植木職人がオオシマザクラとエドヒガンを交配させて作り出したとされています。花が大きく、幼木からたくさんの花を咲かせるので、当時から人気のサクラだったようです。

その後、戦後の復興の象徴として日本中の学校や公園、河川敷などに植えられました。
今現在日本に植えられているソメイヨシノは1000 万本ともいわれています。
ソメイヨシノ同士では交配が出来ないため、挿し木や接ぎ木などでクローンを増やしています。
同一個体のクローンであるため、寒暖の感じ方も同じになり、開花のタイミングも同じになります。
日本列島を南から北上しながら次々と開花していくので、桜前線と名付けられたようです。
樹木だと深く考えられないかも知れませんが、全く同じ遺伝子をもった人間が1000万人日本にいると考えれば少し不思議な感じがしますね。

現在では遺伝子の多様性という観点から各自治体でもソメイヨシノだけでなく、多様な種類のサクラを植えるようにしているようです。
一つの花が咲くのを国民全員で楽しむのは、世界的にも珍しいようです。世界に誇る素晴らしい日本の桜 の文化を感じながらお花見しましょう。

更新日:2022年2月24日


古川 雄一(ふるかわ ゆういち) 氏
陽樹園」代表。会津若松市内の造園会社に17年在籍後、独立する。
様々な資格を持ち、独自のスタイルで作る庭は高い評価を得ている。
樹木医、一級造園施工管理技士、一級造園技能士、松保護士、自然再生士。

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